未登記建物とは、法務局の登記簿に記録されていない建物です。
登記されていなくても解体は可能ですが、工事前に所有者や解体する権限を確認しなければなりません。
また、未登記建物には法務局で消す登記記録がないため、解体後は市区町村へ家屋の取り壊しを届け出る必要があります。
補助制度の対象条件や固定資産税への影響も、着工前に確認しておきたいポイントです。
本記事では、未登記建物の確認方法、解体までの流れ、必要書類、費用、補助金、税金について解説します。
未登記建物とは?基礎知識と確認方法
未登記建物を解体する前に、建物が本当に未登記なのか、所有者は誰なのかを確認する必要があります。
ここでは、未登記建物の定義や発生する理由、登記状況の調べ方、相続登記義務化との関係を解説します。
未登記建物の定義と発生する主な理由
未登記建物とは、所在や種類、構造、床面積などを記録する表題登記が行われていない建物です。
登記されていなくても建物や所有権が直ちに否定されるわけではありませんが、登記記録から所有者を確認できません。
建築時に表題登記を申請しなかったことや、離れ・倉庫を後から建てたことなどが主な理由です。
なお、建物自体は登記されていても、増築部分が登記に反映されていないケースもあります。
自宅が未登記かどうかを調べる方法
建物の登記状況は、所在地を管轄する法務局で登記事項証明書を請求して確認します。
地番や家屋番号は住所表示と異なることがあるため、固定資産税の納税通知書や名寄帳も確認しましょう。
ただし、課税資料に家屋が記載されていても、法務局で登記されているとは限りません。
登記記録と課税資料を照合しても判断できない場合は、法務局や市区町村の資産税担当、土地家屋調査士へ相談してください。
2024年から始まった相続登記義務化のポイント
2024年4月1日から、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内の相続登記が義務化されました。
正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
ただし、未登記建物には移転すべき所有権登記がないため、通常の相続登記をそのまま申請することはできません。
建物表題登記や所有権保存登記が必要かどうかは、解体予定や権利関係によっても異なるため、法務局や専門家へ確認しましょう。
未登記建物でも所有者を確認できれば解体できる
未登記建物でも、所有者と解体する権限を確認できれば、通常は建物を登記せずに解体できます。
ただし、固定資産課税台帳の名義人と実際の所有者が同じとは限りません。
相続人や共有者が複数いる場合は、原則として関係者全員の同意を得てから工事を進めます。
また、補助制度によっては登記済みであることが利用条件となるため、補助金を申請する場合は契約前に対象要件を確認してください。
未登記建物を解体するまでの具体的な流れ
未登記建物の解体では、所有関係の確認、業者との契約、解体後の届出を順番に進めます。
ここでは、必要書類をそろえる段階から、工事完了後に家屋の取り壊しを届け出るまでの流れを解説します。
事前準備と近隣住民への挨拶回り
まずは、固定資産税の納税通知書や名寄帳、建築確認書類、売買契約書、相続関係書類などを集めます。
これらの資料をもとに、建物の所有者と解体に同意すべき人を確認しましょう。
その後、解体業者へ現地調査を依頼し、アスベストや残置物、接道、ライフラインの状況を確認してもらいます。
着工前には近隣住民へ工期や作業時間、連絡先を伝え、騒音や粉じんによるトラブルを防ぐことも大切です。
解体業者との契約から工事完了まで
見積書では、建物本体や基礎、付帯物、残置物、廃材処分、整地の費用を確認します。
契約書には、工事範囲や工期、支払条件、追加費用が発生する条件を明記してもらいましょう。
床面積80平方メートル以上の解体工事では、原則として発注者が着工7日前までに建設リサイクル法の届出を行います。
アスベストの事前調査は建物の規模を問わず必要であり、床面積80平方メートル以上の場合は元請業者による調査結果の報告も必要です。
工事完了後は、撤去範囲や整地状態を確認し、解体業者から取壊し証明書を受け取ってください。
解体後に必要となる建物滅失届の提出
登記済み建物を解体した場合は、滅失した日から1か月以内に法務局へ建物滅失登記を申請します。
一方、未登記建物には消すべき登記記録がないため、通常は建物滅失登記を申請しません。
札幌市では、未登記建物の解体後に「家屋取りこわし届書」を市税事務所の固定資産税課へ提出します。
解体業者から受け取った取壊し証明書など、必要な添付書類は自治体によって異なるため、事前に担当窓口へ確認しましょう。
未登記建物の解体費用を左右する2つの要素
未登記であること自体が、解体費用を直接高くするわけではありません。
費用は主に建物の構造や規模、アスベスト、残置物、重機の搬入条件などによって変わります。
ここでは、構造別の坪単価と追加費用が発生しやすいケースを解説します。
木造・鉄骨造・RC造別の坪単価目安
2026年8月時点の札幌市周辺における坪単価の目安は、木造3万~5万円、軽量鉄骨造4万~6万円、重量鉄骨造5万~7万円、RC造5万~8万円です。
鉄骨の切断やコンクリートの破砕には大型重機が必要となるため、木造より高くなる傾向があります。
ただし、坪単価に含まれる工事は業者によって異なります。
基礎撤去や養生、廃材処分、整地を含む税込総額で見積もりを比較しましょう。
追加費用が発生しやすいケース
追加費用が発生しやすいのは、家具やごみが多く残っている場合や、アスベスト含有建材、地中埋設物が見つかった場合です。
重機が入れない敷地や、交通誘導員が必要な現場でも費用が増える可能性があります。
未登記建物だから必ず追加費用がかかるわけではありません。
着工後に想定外の物が見つかった場合の連絡方法と費用の算定方法を、契約書で確認しておきましょう。
未登記建物に利用できる補助金の確認ポイント
自治体によっては、老朽空き家や危険な建物の解体費用を補助しています。
ただし、未登記建物を対象外としている制度もあるため、申請条件の確認が必要です。
ここでは、未登記建物における補助制度の扱いと、申請から工事までの流れを解説します。
国や自治体が実施する空き家解体補助金
空き家の解体補助金は、主に市区町村が地域の空き家対策として実施しています。
対象は老朽化や倒壊のおそれがある建物などに限られ、未登記建物だから利用できるとは限りません。
例えば、札幌市の木造住宅除却工事補助制度では、未登記住宅は対象外です。
一方、制度によって条件は異なるため、建物所在地の自治体へ未登記でも申請できるか確認しましょう。
補助金申請の条件と手続きの流れ
一般的な流れは、自治体への事前相談、申請書と見積書の提出、審査、交付決定、解体工事、実績報告、補助金の請求です。
多くの制度では、交付決定前に契約や着工をすると対象外になります。
必要書類として、本人確認書類や建物の位置図、写真、見積書、納税証明書、所有関係を示す資料などを求められる場合があります。
未登記建物では追加資料が必要になることもあるため、契約前に担当窓口へ相談してください。
未登記建物の解体と固定資産税の2つの注意点
未登記建物でも、自治体が存在を把握していれば固定資産税の課税対象になります。
また、建物を解体すると建物分の課税はなくなる一方、土地の住宅用地特例が外れる可能性があります。
ここでは、解体前後の税額と、未課税だった建物が見つかった場合の注意点を見ていきましょう。
解体翌年度から建物分の固定資産税がなくなる
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有状況をもとに課税されます。
年の途中で建物を解体しても、その年度の固定資産税が月割りで減額されるわけではありません。
翌年1月1日時点で建物がなければ、翌年度から建物分の固定資産税は課税されなくなります。
一方、住宅がなくなった土地は住宅用地特例の対象外となり、土地の税負担が増える可能性があるため、解体前に翌年度の税額を確認しましょう。
未課税だった建物が見つかった場合は自治体へ確認する
未登記建物でも、固定資産税の要件を満たせば課税対象となります。
自治体が未課税の建物を把握した場合は、法令上認められる期間にさかのぼって課税される可能性もあるでしょう。
ただし、さかのぼる期間や税額は、建物の状況や自治体の処理によって異なります。
未登記だから固定資産税がかからないと判断せず、市区町村の資産税担当へ確認してください。
権利関係が複雑な場合は土地家屋調査士へ相談
建物の位置や構造、床面積の調査、表題登記については、土地家屋調査士へ相談できます。
所有権保存登記や相続登記など、権利に関する登記は司法書士の業務分野です。
一方、相続人同士で所有権を争っている場合や、共有者から解体の同意を得られない場合は、弁護士への相談が適しています。
抱えている問題を整理し、土地家屋調査士、司法書士、弁護士を使い分けましょう。
未登記建物の解体に関するよくある質問
未登記建物を解体する際は、売買の可否や未登記となった理由、登記費用、固定資産税について疑問を持つ方もいます。
ここでは、解体を検討する際によくある4つの質問へ回答します。
未登記建物は売買できますか?
未登記建物でも、当事者間で売買契約を結ぶこと自体は可能です。
ただし、登記記録がないままでは、買主への所有権移転登記ができません。
金融機関の融資を受けにくく、所有関係を巡るトラブルにつながる可能性もあります。
売買前に表題登記と所有権保存登記を行うか、売主負担で解体して土地のみを引き渡すか、不動産会社や専門家へ相談しましょう。
古い建物が未登記のまま残っているのはなぜ?
建築時に表題登記を申請しなかったことや、離れ・倉庫を後から建てたことなどが主な理由です。
また、固定資産税が課税されているため、登記も済んでいると思い込んでいるケースもあります。
家族間で建物を引き継ぎ、売却や融資を行わなかったことで、未登記だと気付かないまま残っていることもあります。
そのため、登記事項証明書と課税資料を照合して確認しましょう。
未登記建物の登記費用はいくらかかりますか?
建物表題登記には登録免許税がかかりません。
ただし、土地家屋調査士へ依頼する場合は、現地調査や測量、図面作成などの報酬が発生します。
所有権保存登記には登録免許税がかかり、司法書士へ依頼する場合は別途報酬が必要です。
総額は建物の規模や資料の有無によって異なるため、表題登記と所有権保存登記を分けて見積もりを確認しましょう。
未登記建物の固定資産税に時効はありますか?
固定資産税の賦課や徴収には期間制限がありますが、未登記であれば自動的に支払義務がなくなるわけではありません。
納税通知や督促などによって、時効の進行に影響が生じる場合もあります。
ただし、未課税だった建物に対する過去分の扱いは、建物の状況や自治体の判断によって異なります。
そのため、自己判断で支払いを止めず、市区町村の資産税担当へ確認してください。
まとめ:未登記建物の解体手順と書類・補助金対策
未登記建物でも、所有者と解体する権限を確認できれば、通常は登記せずに解体できます。
ただし、共有者や相続人がいる場合は、関係者の同意を得てから工事を進めなければなりません。
解体前には、固定資産税の資料や相続関係書類を整理し、アスベスト事前調査や建設リサイクル法の届出が必要か確認しましょう。
解体後は、市区町村へ家屋取りこわし届を提出し、固定資産税の課税台帳を更新してもらいます。
また、補助金を利用する場合は、未登記建物が対象となるかを確認し、交付決定前に契約・着工しないことも大切です。
権利関係が複雑な場合は、土地家屋調査士や司法書士、弁護士へ相談しましょう。
未登記建物の解体では、所有者の確認や解体後の届出など、通常の解体工事とは異なる確認事項があります。
株式会社雄志総業では、未登記建物を含む解体工事について、現地調査から見積もりまで対応しています。
解体費用や工事の進め方に不安がある方は、お気軽にご相談ください。
お問い合わせは下記より受け付けています。
- WEB:公式サイト「お問い合わせ」より
- 電話:011-879-5001
【記事監修】
藤本 大志(ふじもと たいし)
株式会社雄志総業 代表取締役
平成23年(2011年)に創業。
平成26年(2014年)に法人化(株式会社雄志総業を設立)
札幌市を中心に地域密着で15年以上、一般家屋からビルまでの解体工事、アスベスト除去、仮設足場工事、冬期の除排雪など、総合建設業の第一線で現場を指揮。
「業界で最もクリーンで、最も信頼される解体業者」を目指し、徹底した法令順守、クリーンな廃棄物処理、そして不透明な費用の撤廃に全社を挙げて取り組んでいる。
- 解体工事施工技士
- 一般建築物石綿事前調査者
- 工作物石綿事前調査者
- 産業廃棄物管理責任者
- 特別管理産業廃棄物管理責任者
- 技能実習責任者
解体工事は、施主様の思い出が詰まった建物を壊すだけでなく、新しい未来へ繋ぐ大切な第一歩です。
だからこそ、手続きや費用、近隣対策にいたるまで、一切の濁りがない「最もクリーンな解体業者」でありたいと考えています。
アスベスト対策や産廃処理など、見えない部分こそ徹底的に。
札幌の皆さまに「雄志総業に頼んで本当に良かった」と心から安心していただけるよう、本コラムを通じて、業者の選び方やトラブルを防ぐノウハウを誠実にお伝えしてまいります。



























